病院で死にたい

職場の健康診断で胃カメラを飲んだ。

いつもはバリウム検査だが、バリウムは下剤がきついし、胃カメラのほうが手っ取り早く異常が分かるだろうと思い、胃カメラを選択した。
以前、胃腸専門病院で胃カメラを飲んだ時は、軽い睡眠剤を注射されてから喉の麻酔薬を飲んだ。カメラが胃に入っていくと、おえーっとなり、げっぷはしないようにと言われるのだけど、ぐええーーっと目いっぱい胃袋のガスを吐き出した。ドクターが「あああ、もうちょっとなのにー」と言ったが、睡眠剤のために脳の抑制が効かなかった。頭がはっきりしていたら我慢できたと思うのだけど。

今回は喉の液体の麻酔薬だけで睡眠剤はなく、やや高齢の男性医師はとても上手
だった。そして、最初カメラが食道から胃に入っていく時、一番おえっとなる時に、看護師さんが横向いた私の肩を抱きかかえるようにして、赤ちゃんをあやすように背中をポンポンしてくれた。

大腸ファイバーは何度もしたことがあるし、胃カメラは2回目だし、特に緊張はしていなかったが、看護師さんの背中ぽんぽんがとても安らかな気持ちになれて良かった。

そして検査はあっという間に終わった。
ひとり暮らしの私は、最後は病院で死ぬ確率が高い。家族がいれば、最後は自宅で死にたいと言われるのはよくわかる。

しかし、ひとり暮らしの私にとって、病院で生まれて病院で死ぬということは、とても自然なことなのだ。死後の処置もすぐしてもらえて、自宅で孤独死するよりもずっと良い。
そして理想を言えば、優しい看護師さんにあんなふうに、背中ぽんぽんしてもらいながら安らかに死ねたらいいなと思う。

久々に飛行機に乗った。あの世に往く時って、こんな感じかな。